経営ヒント「歯科医院の撤去冠の売却収入の消費税簡易課税の事業区分」

歯科医院で撤去冠を売却した時の消費税簡易課税の事業区分ですが、当事務所では第4種事業で今まで申告しており、税務調査において指摘されたことは一度もありません。

国税庁のタックスアンサー「廃材(品)、加工くず等の売却収入」は下記のように回答しています。

第一種事業又は第二種事業を営む事業者が、不要となったダンボール箱等(以下「不要物品」といいます。)の譲渡を行う事業は、原則として第四種事業に該当します。
ただし、当該事業者が、不要物品が生じた事業に該当するものとして処理しているときは、これが認められます。
また、製造業者が製造工程等で発生した加工くず、副産物等の譲渡を行う事業は、第三種事業に該当することになります。


タックスアンサーから読み取れるポイントは不要物品は第4種事業であることと、第3種事業の製造工程等で発生した加工くず、副産物等は第3種事業であることです。
このことから歯科医院での撤去冠は製造工程等で発生した加工くずでも副産物等でもなく、患者から廃棄を依頼された不要物品なので第4種事業になります。
撤去冠は患者によっては持ち帰る人もいるそうですが、ほとんどの患者は歯科医院に廃棄を依頼しています。
歯科医院で撤去冠を再利用するところはあり得ず、明らかな不要物品です。

また、簡易課税の事業区分の判定について国税庁は「事業者が行う事業が第一種事業から第六種事業までのいずれに該当するかの判定は、原則として、その事業者が行う課税資産の譲渡等ごとに行います。」としています。
つまり、歯科医院の自由診療収入や文書料などが日本標準産業分類の大分類の「医療」なので第5種事業だとしても、撤去冠の売却は不要物品の譲渡として下記のフローチャートで判定するのが正しいです。

簡易課税の事業区分について(フローチャート)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/20/02.htm

不要物品の譲渡なので、日本標準産業分類のどれにも該当せず、フローチャートの一番下の第4種事業に該当すると考えるのが妥当です。
先ほどのタックスアンサーで不要となったダンボール箱等の譲渡が第4種事業に該当するのと同じ考えです。

ただし、技工所で発生した作業くずの売却は製造工程等で発生した加工くずに該当すると思われるので、技工所の収入と同じ第4種事業です。

ところで撤去冠の売却収入は第5種事業だとする説があるそうです。
この説では撤去冠の売却はタックスアンサーの「第三種事業に該当する建設業、製造業等に係る事業に伴い生じた加工くず、副産物等の譲渡を行う事業は、第三種事業に該当するのであるから留意する。」と同様であり、第5種事業でる歯科医業から生じた撤去冠の売却も第5種事業に該当するという見解だそうです。

繰り返しになりますが加工くず、副産物等ではなく、不要物品です。
さらに、納税者にとって第5種事業より第4種事業で申告した方が有利です。
当事務所では前述したように、そもそも第4種事業が正しいと判断していますが、仮に第4種事業か第5種事業か判断が明らかでないときは納税者に有利な方で申告すべきではないでしょうか?

(公開日 令和2年4月27日)