質問「他県に分院を出す場合(広域医療法人)について」

ご相談者様からの主なご質問は下記の3つでした。
1.医療法人で分院を出す場合に、分院の院長を理事にしなければいけないか?もし理事にした場合は歩合による給料を出すことができるか?
2.現在は個人開業しているが医療法人を設立してから数ヶ月後に分院を出す予定でいる場合、設立時の定款に何か文言を入れる必要があるか?
3.ご相談者様が開業している県は広域医療法人を認めたがらない県らしいですが、強行すれば広域医療法人は認められるか?

ご相談者様への回答には書きませんでしたが、まず広域医療法人について簡単に説明しておきます。
広域医療法人とは2つ以上の都道府県にまたがって病医院を開業される医療法人の事です。ちなみに広域医療法人とは俗称であり、医療法のどこにもこのような名称は出てきません。ですから正式な名称はあくまで医療法人○○会というようになりますが、看板や名刺等に広域医療法人と書くことに対しては特に制限はありません。
広域医療法人を設立する場合、医療法人設立の時点で最初から広域医療法人として認可申請をしますと、設立認可が下りるまで相当の期間を要することが多く(大体1年くらい)、通常は医療法人設立後に、分院を出す認可を改めて申請します。ですから今回のご相談者も設立後数ヶ月後に分院を出す予定でいるのだと思います。

それではご質問に対する回答を述べたいと思います。
まず1についてですが、医療法人の場合、分院の管理者は理事に加えることが原則となります。もし理事に加えないときは都道府県知事の認可が必要となりますので、ほとんどの医療法人で管理者を理事としています。この事は医療法第47条に書かれています。しかし社員(営利法人でいう株主)に加えろとは書かれていませんので、医療法人の運営には支障ないと思います。
次に歩合制による給料についてですが、これは可能です。何故かといいますと、医療法人は医療法第46条において「理事長は医療法人を代表し、その業務を総括する」と書かれていますから、理事長にのみ代表権があり、他の理事が代表権を持つことは違法となります。従ってわざわざ常務理事とか名称を付けない限り、理事は税法でいう使用人兼務役員に該当しますので、賞与の支給も可能ですし、歩合による給料も可能となります。

次に2についてですが、医療法人設立時の定款に分院に関する文言を入れる必要はありません。ただし事業計画書の中に将来分院を出す予定である旨を入れた方がいいと思います。

最後に3についてですが、もしご相談者様が開業している県が広域医療法人をを認めないというのが本当であれば、明らかな行政手続法の違反となりますので、認めないという事は無いと思います。ですから強行すれば広域医療法人は認められるかというご質問の回答は「当然出せる」となります。
しかし、仮にその県が難色を示し、それを強行する事で何らかの不利益を受けそうだと思われるのであれば、何も分院を医療法人で出す必要は無いと思います。
その代わり、本院は医療法人で運営し分院は個人開業するという方法があります。この場合、分院の開設・管理者をご相談者様とする必要があるので、本院の管理者を別の先生にする必要があります。
分院をご相談者様として個人開設するのであれば都道府県の認可云々という必要はなく、ただ分院を開設する所管保健所に診療所開設届を出すだけとなります。

(公開日 平成16年12月以前)