質問「矯正収入の収益計上時期について」

歯科クリニックを個人開業されている先生からのご質問で、矯正装置装着時に矯正治療費として数十万円を請求しますが、それが分割払いであっても全額を矯正装置装着時に収入として申告しなければいけないと税理士に言われているが本当か?というものでした。
この先生がご自分でインターネットで調べたところ、あるサイトに「歯列矯正料の収益計上時期で納税者に軍配!」という記事があり、詳しくはわからないが分割払いで入金があった時に収入としてもいいのでというご指摘も頂きました。

まず「歯列矯正料の収益計上時期で納税者に軍配!」という記事についてご説明します。
この裁決は平成11年3月に東京国税不服審判所で出されたものです。
内容は矯正収入を現金主義(実際に現金で回収できた時に収入として計上する方法です)をもとに収益計上していたところ、税務署から矯正装置装着時に全額を収入計上すべきだと指摘され更正処分(修正申告させる事)された事について、不服申し立てをしていたというものです。
この申し立てに対して審判所が現金主義による矯正収入の計上は不合理な方法とは言えないとして税務署の処分を取り消した為、納税者に軍配という見出しになったものと思われます。

しかし現金主義とは個人事業者にのみ認められている制度ですし、個人事業者であっても事業所得の金額が300万円以下の小規模事業者でしか認められません。したがって上記の裁決で現金主義が認められるとしてもほとんどの歯科クリニックでは適用されないと考えるべきだと思います。
所得税法では発生主義(収入が発生した時点で、その未収にかかわらず収入として申告する制度の事です)を原則としていますので、事業所得の金額が300万円を超えている歯科クリニックでは、やはり矯正装置装着時に全額を収入として申告すべきだと思います。
上記の判決以外でも平成7年4月の徳島地裁や、昭和60年12月の国税不服審判所においても、矯正装置装着時に収入として申告すべきだという判決及び裁決がありますので、ご相談者様の顧問税理士の指導通りに申告された方が無難と言えます。

(公開日 平成16年12月以前)