質問「医療法人の理事長は他の理事長を兼務できるか?」

ご質問は医療法人の理事長は他の医療法人の理事長を兼務できますか?という内容でした。

医療法人の理事(長)については、医療法で下記の者はなれないと定められています。
1.成年被後見人又は被保佐人
2.この法律、医師法、歯科医師法その他医事に関する法令の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して2年を経過しない者
3.前号に該当する者を除くほか、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者

次に厚生労働省が制定した医療法人運営管理指導要綱に「医療法人と関係のある特定の営利法人の役員が理事長に就任したり、役員として参画していることは、非営利性という観点から適当でないこと」と書かれています。
ただし、医療法人は非営利を前提とした法人ですので、医療法人の理事長は営利法人の役員には該当しません。したがって、医療法及び指導要綱を見る限り、理事長の兼務は全然問題ありません。

ところで、医療法人を所轄するのは広域医療法人の場合を除き、都道府県です。ですから各都道府県は医療法人の認可や処分について審査基準や標準処理期間を予め設け、認可を拒否する場合や指導を含む行政処分を行う時は、審査基準に基づき行う必要があります。
そして審査基準は「申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。」とされており、わかりやすく言うと公開する必要があります。
そのため多くの各都道府県は医療法人設立の手引を作成し配布しています。もし、各都道府県が作成した手引に医療法人の理事長は兼務できない旨が明記されているなら、その都道府県では理事長の兼務は認められません。もし、書かれていないなら理事長の兼務を絶対に駄目と拒否する事は行政手続法違反となります。
なお、私は多くの都道府県で医療法人設立認可申請書を提出していますが、理事長の兼務について書かれた手引は見たことがありません。

最後に厚生労働省が理事長の兼務についてどう考えているかがわかる資料を紹介致します。
資料は厚生労働省が作成した特定医療法人FAQです。
この中に【医療法人の理事長の兼務】という項目があります。要約すると次のような事が書かれています。
Q.医療法人の理事長の兼務について明確な規定が見当たりませんので、その取扱いについて教えて下さい。
A.医療法人は複数の医療機関の開設が可能なので、理事長を兼務する必要は通常ないと考えられます。そのため、特別の理由・必然性がなければ、理事長の兼務は認められないものと考えます。

まとめると、理事長の兼務は法的には問題ないが、所轄官庁である都道府県は特別な理由・必然性がなければ認めない可能性がある、となります。

(公開日 平成18年9月26日)