質問「歯科医師が美容注射を行うことができますか?」

ご質問は歯科医院を経営されている先生から頂きました。
歯科医院の経営改善として美容医療を行いたいと考えているが、歯科医師がプラセンタ注射などの美容注射を行うことができるかというご質問ですが、結論を先に書くと美容目的としては出来ません。
理由は歯科医師は歯科医師法第17条で歯科医業を行うことは認められていますが、美容注射は歯科医業の範囲には入っていないからです。
歯科医師はもちろん注射する事ができますが、それは歯科医業に関連する行為に限り認められます。
しかし、美容目的の注射が歯科医業の範囲に入っているとは考えづらく、医師法第17条による医業(医行為)に該当すると考えるのが一般的です。
したがって、歯科医師が美容目的で美容注射を反復して行うと医師法違反として処罰の対象になると思います。

しかし、歯肉炎や歯周病などの歯科疾患に対する効果を期待して美容注射を行うのであれば、話は別です。
私は医師でも歯科医師でもないので美容注射が歯周病に効果があるのかわかりませんが、歯周病の治療や予防のために美容注射を行うのであれば立派な歯科医業となり、医師法違反にはなりません。
一般的には歯科疾患に対する注射であれば口腔内に注射すると思いますが、本当に歯科疾患を目的として注射するのであれば腕などであっても問題ないと思います。

ただし心配なのは美容注射として使用する医薬品の能書きに、用法として歯科医業云々と書かれているかです。
(歯科)医師であれば、能書きに書かれている以外の方法で医薬品を使用しても問題ありませんが、万が一患者との間でトラブルが生じた時は、注射した(歯科)医師の過失となり、製薬会社には責任は生じないと考えるべきです。
ですから、美容注射が歯科疾患に効くのか、安全なのか等、十分に検討してから使用される事をお薦めします。

(公開日 平成19年8月28日)


補足説明
さきほど電話で「歯科医師は口唇について治療できると法律に明記されているので、プラセンタ注射を美容目的で口唇に打っても全く問題ない。あなたのホームページは虚偽の記載をしている」という訳のわからない失礼な問合せがありました。
しかも氏名を聞いても名乗らないという極めて無礼な方でした。
さて、この無礼な方の主張は正しい知識をお持ちの方であれば笑ってしまうような内容です。
この無礼な方の主張が正しければ歯科医師は風邪やインフルエンザの注射を口腔・口唇内であれば打てることになります。
しかし、実際に風邪の治療をしている歯科医師はいません。注射を打つ部位によって治療範囲が決まるのではなく、治療の目的となる疾病等によって治療範囲が決まるからです。
ですから風邪であれば内科の範疇になり、口腔・口唇を問わず歯科医師が風邪の治療を行うと医師法違反になります。
ここまで書けば歯科医師が美容目的で口腔・口唇を問わずプラセンタ注射を打って良いかどうかわかると思います。後はご自身で判断して下さい。

最後に当事務所の「お問い合わせ」のページにも記載しておりますが、当事務所は無料経営相談所ではないので「ちょっと教えて欲しい」というお電話はお断りしております。
当事務所のホームページの記載について間違っている等のご指摘がある方はまずご自身の身分を明らかにした上で、メールでお問い合わせ下さい。
こちらの都合も聞かず一方的に電話してきて氏名も名乗らない今回のような無礼な方には一切お答えも対応も致しませんので、予めご了承下さい。

(補正追加日 平成24年11月26日)


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