質問「就業規則が医院の実情にあっていない」

ご質問は歯科医院を経営されている医療法人の理事長先生から頂きました。
この医院では数年前に社会保険労務士に依頼して就業規則を作成しましたが、就業規則を設けて以来、職員が有給休暇を多用し勤怠スケジュールを組むのが大変になるし、退職者が有給消化を理由に1ヶ月間も出勤せず引継ぎも満足に行われないし、遅刻・早退も就業規則作成前から減るどころか逆に増えている等、数々の不満があり、他院ではどうしているのか?というのがご質問の趣旨です。

一般的には就業規則を作成するとき、書式集などにあるモデル就業規則を基に作成します。そして休日や賃金体系など若干の事項をその医院に合わせて変更します。
そのため、どこの医院の就業規則も似たり寄ったりになっています。
確かに就業規則は労働基準法を遵守して作成しなければならないので、かなりの部分はどの医院でも同じ内容になるのは仕方ありません。
しかし、就業規則はその医院の法律となりますので、極力その医院の実情にあったものにする必要があります。
その意味でモデル就業規則をそのまま使うのは医院の実情にあっているとは言えません。私が見る限りモデル就業規則は公務員とか大企業向けに作られており、職員が少数の医院には向いていないからです。

したがって、休日、有給休暇、出・退勤、遅刻・早退、服務規律、制裁などに関する条項はモデル就業規則の文章をそのまま使わず、必ず医院の実情に合わせて作り直すべきです。
就業規則をスーツに例えると、モデル就業規則は普通サイズの既製服であり、医院は普通サイズより小さな人間となります。
既製服ですから、裾やウエストを調整する程度しかできず、小さな人間が普通サイズの既製服を着ると全体的に服が大きめで、着ていて不快感があると思います。
スーツでこのように合わない既製服を買う方はいないと思いますが、就業規則については、大きめな既製服であるモデル就業規則に多少の調整を加えたものが多く見受けられます。
恐らくご質問された医院の就業規則もそうだと思います。
ですから就業規則を作成した社会保険労務士でも良いですので、もう一度、医院の実情をよく説明し、労働基準法に違反するかどうかより、医院としてはこうして欲しいという要望をちゃんと出される事をお薦めします。
労働基準法に違反しているかどうかはプロである社会保険労務士などが判断すれば良い事で、医院の法律である就業規則の内容はできるだけ医院自身が考えるべきです。
したがって、ろくに打合せもしないで就業規則を作成する社会保険労務士や会社などは信用されない方が良いです。そのような会社などは既製品スーツ(モデル就業規則)に多少調整を加えるだけで、医院の背丈に合ったオーダーメイドのスーツ(就業規則)を作ってくれないからです。

(公開日 平成19年10月22日)