質問「専門医に支払う報酬は所得税を徴収すべきか?」

ご質問は歯科医院を経営されているクリニックから頂きました。
このクリニックではインプラントに関しては専門医にオペを委託していますが、クリニックの顧問税理士から専門医に支払う報酬は10%の所得税を徴収しなければならないと言われていたので、毎月の報酬から10%の所得税を徴収していたが、専門医より所得税を徴収する必要はないので全額支払うようにと言われ、どちらが本当か教えて欲しいというご質問です。

報酬と聞くと必ず10%の所得税の徴収が必要と勘違いされる方が多くいるようです。
確かに税理士、弁護士、司法書士などに対して支払う報酬には所得税の徴収が必要ですが、これは所得税法第204条に「居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。」と定められているからです。
つまり、全ての報酬に対して所得税を徴収する必要があるのではなく、所得税法第204条で定められている「次に掲げる報酬若しくは料金」に該当する場合に所得税を徴収する義務があります。
その中に次のような報酬が規定されています。

所得税法第204条第1項第2号
弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金

相談者様の顧問税理士は医師や歯科医師に対する報酬も上記に含まれていると勘違いしているのだと思いますが、上記には医師という言葉はどこにも含まれていません。
さらに「その他これらに類する者で政令で定めるもの」とは所得税法施行令第320条に定められていますが、次のように規定されています。

所得税法施行令第320条第2項
法第二百四条第一項第二号 に規定する政令で定める者は、計理士、会計士補、企業診断員(企業経営の改善及び向上のための指導を行う者を含む。)、測量士補、建築代理士(建築代理士以外の者で建築に関する申請若しくは届出の書類を作成し、又はこれらの手続を代理することを業とするものを含む。)、不動産鑑定士補、火災損害鑑定人若しくは自動車等損害鑑定人(自動車又は建設機械に係る損害保険契約の保険事故に関して損害額の算定又はその損害額の算定に係る調査を行うことを業とする者をいう。)又は技術士補(技術士又は技術士補以外の者で技術士の行う業務と同一の業務を行う者を含む。)とする。

ここにも医師という言葉はどこにも書かれていません。 ですから結論を申し上げると、専門医に支払う報酬(治療費)から所得税を徴収する必要はありません。
なお、専門医側では自費診療収入となりますので、当然、確定申告の必要があります。

(公開日 平成20年2月4日)