質問「平成21年度から医療法人の事業承継時の相続税は少なくなりますか?」

ご質問は医療法人の理事長より頂きました。
平成21年度税制改正で、相続の時に同族会社の株式を後継者が取得した場合に課される相続税の8割を猶予する税制が検討されているようだが、これに医療法人もふくまれるか?という質問内容です。

お尋ねの税制は「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」として検討されています。
同族会社の株式や出資金は、取引相場のない株式等として評価額を計算しますが、その同族会社が資産をたくさん持っていたり毎年多額の利益を出していれば、株式や出資金の評価額はかなり高額なものになります。
それを相続した事業後継者には多額の相続税が課されますが、同族会社の株式や出資金は換金性がありませんので、相続税を支払えない等の問題が生じ、事業継承がスムーズにいかないケースがあり、そのために廃業に至り多数の失業者がでるという事態も発生しています。
そこで同族会社の事業承継をスムーズにいくように政府は中小企業の経営の承継の円滑化(仮称)という法律を近く国会に提出する予定です。

医療法人でも事業承継時の相続税課税がずっと問題になっていますので、「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」に医療法人が含まれると事業承継時の相続税が大幅に減る医療法人は多いと思います。
しかし、現時点で医療法人が同制度に含まれる可能性は低いと思います。
理由は、同制度の対象法人は中小企業基本法上の中小企業とされているからです。
中小企業基本法第2条に中小企業者の範囲が定められていますが、サービス業を営むものは「資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社」となっています。
医療法人は特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入など、株式会社や有限会社等の会社に適用される規定は適用されませんが、理由は医療法人は商法に基づき設立される会社ではないからです。
したがって、医療法人にも「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」が適用されるのであれば、「資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の法人並びに常時使用する従業員の数が百人以下の法人」というように、会社という言葉を法人という言葉に置き換える必要があります。
まだ中小企業の経営の承継の円滑化(仮称)が国会に提出されていない段階なので、確かな事はわかりませんが、医療法人の相続税は猶予されない(少なくならない)と考えておいた方が無難ではないかと思います。

(公開日 平成20年2月19日)