質問「経過措置型医療法人の出資持分権の取扱いについて」

経過措置型医療法人の出資持分権を所有している社員が退社することになったが、退社時に払戻請求はしない予定です。
その場合、本来もらえるべき出資持分払戻請求額を放棄したことになるので、みなし贈与税が課税されるのでしょうか?

以上のような内容のご質問を頂きました。
結論を申し上げると、みなし贈与税は課税されません。
理由は、社員退社時の出資持分払戻請求をしなくても、まだ医療法人解散時の払戻請求の権利が残っているからです。
経過措置型医療法人であれば解散時に出資持分に応じた額の払戻しを受けることができるので、出資持分払戻請求額を放棄したことになりません。

ところで、今回のご質問のように経過措置型医療法人の社員を退社した方は、医療法人が解散するまで永久に払戻請求が出来ないのか?と心配される方もいると思います。
経過措置型医療法人の一般的な定款は「社員資格を喪失した者は、払込済出資額に応じて払戻しを請求することができる」となっています。
この条文のどこにも社員資格を喪失した時に払戻しを請求しなければ払戻請求権を失うとは書かれていません。
しかし、払込済出資額に応じた払戻額の計算基準日は退社日(社員資格を喪失した日)であることは間違いないので、退社日から払戻請求権という権利の時効期間が過ぎると無効になるのは間違いありません。
しかし、出資持分払戻請求というのは医療法人の運営に重要な影響を及ぼすことを考慮すると、払戻請求権の行使の有無は退社日からできるだけ速やかに明らかにすべきだと思います。
このように考えると退社日から相当の期間が経ってしまうと「社員資格を喪失した者は、払込済出資額に応じて払戻しを請求することができる」権利を行使できないと考えるが一般的ということになってしまいます。

しかし、医療法人の社員というのは入社も非常に簡単です。
社員総会で入社の承認がもらえればすぐに入社できるからです。
つまり、退社時に払戻請求権を行使しなかった者が、その後に払戻請求権を行使したいと思ったのであれば、もう一度社員になれば良いのです。
もっとも同族経営の医療法人であれば社員入社の承認は簡単にもらえるはずですが、非同族経営の医療法人ではそう簡単には社員入社の承認はもらえないと思いますので、退社時の払戻請求権行使については慎重に考えることをお勧めします。

(公開日 平成23年6月16日)