質問「医療法人の出資持分権を株式会社が所有した場合の払戻請求」

ご質問の内容は株式会社が医療法人の出資持分権を所有することができると聞いたことがあるが本当か?、と株式会社が医療法人の出資持分権を所有した場合に払戻請求は出来るのか?の2点でした。

(以下、平成19年3月以前に設立された出資持分権のある社団医療法人を前提として回答致します。)

まず株式会社が医療法人の出資持分権を所有することができるかどうかですが、これは可能です。
これにはちゃんとした根拠があります。
厚生労働省のホームページの医療法人関係疑義照会の中に「医療法人に対する出資又は寄附について」という文章があります。
この文章は平成3年1月に厚生省(当時)が東京弁護士会宛に回答したものですが、株式会社等の営利法人が医療法人の出資者又は寄附者となり得ますか?という質問に対して下記のように回答しています。

『営利を目的とする商法上の会社は、医療法人に出資することにより社員となることはできないものと解する。
すなわち、出資又は寄附によって医療法人に財産を提供する行為は可能であるが、それに伴っての社員としての社員総会における議決権を取得することや役員として医療法人の経営に参画することはできないことになる。』

以前厚生労働省に、ホームページに掲載されている通達等の資料の有効性について聞いたところ「ホームページに掲載されている通達等であれば現在有効である。有効でないものはホームページから削除している。」という回答を頂いたことがあります。
つまり、上記回答文章は現在も有効なので、株式会社が医療法人の出資持分権を所有することは可能です。(ただし、社員にはなれません。)

次に株式会社が医療法人の出資持分権を所有した場合の払戻請求についてですが、出資持分権の払戻請求は各医療法人の定款で規定されています。
通常は「社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払戻しを請求することができる。」と規定されているはずです。
株式会社は出資者にはなり得ても社員にはなれません。
したがって、社員資格を喪失することは絶対にないので払戻請求をすることはできません。

ただし、未来永劫に出資持分権の権利を行使できない訳ではなく、医療法人が解散した時は出資持分に応じた財産が分配されます。
これは定款に「本社団が解散した場合の残余財産は、払込済出資額に応じて分配するものとする。」と規定されているはずだからです。
社員資格を喪失した場合と違い、解散の場合は社員であったかどうかは問われませんので、株式会社にも財産は分配されます。

(公開日 平成23年8月1日)