質問「医療法人の役員変更登記の際の初日不算入について」

ご質問は神奈川県の医療法人から頂きました。
理事長の任期満了が5月31なので、6月1日に社員総会を開いて役員の改選を行ったところ、法務局職員から役員の任期は初日不算入の原則があるので、6月1日に選任だと6月2日就任となり、6月1日の一日間は役員不在となるのでおかしいと言われたそうです。
そこで、法務局職員が言うように5月31日に社員総会を開かなければならないか?というご質問でした。

結論をいうと法務局職員の指摘は間違っています。
初日不算入は民法第140条に規定されていますが、民法は次のように定めています。

「 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。 」

医療法人の役員の任期はぴったり2年間なので、5月31日が任期満了であれば5月31日の24:00をもって任期満了となり、6月1日午前零時をもって次の役員の任期が始まります。
したがって、医療法人の役員には初日不算入の原則は適用されません。
少し詳細に説明すると、5月31日に開催される社員総会の時点ではまだ役員は任期満了になっていません。24:00をもって任期満了だからです。
まだ改選前の役員の任期中に次の役員を選任することを予選といいます。
一般的に現在の役員と次の役員が全員同じ(これを重任といいます。)であれば、予選で役員改選を行います。
これに対し、改選前の役員の任期が終わった後の6月1日に次の役員を選任することを本選といいます。
一般的には役員の人選が変わるときに本選で役員改選を行います。
前述したように医療法人の役員の任期は初日不算入の原則は適用されませんので、予選であろうが本選であろうが、6月1日の午前零時に新たな役員の任期がスタートするので、社員総会は5月31日、6月1日のいずれに開催しても問題ありません。
役員全員が重任の場合は5月31日の予選で役員改選するのが一般的だというだけの話です。

ご質問者様の登記申請を担当した法務局職員は初日不算入という言葉だけは知っていたようですが、民法の条文は確認したことはない人のようです。
役人が言うことが正しいとは限らないという典型的な例と言えます。

(公開日 平成23年8月25日)


回答の最後の方に「社員総会は5月31日、6月1日のいずれに開催しても問題ありません。」と平成23年当時に書きましたが、役員全員が重任の場合の社員総会は5月31日が正しいので補足説明します。
回答の中で重任の場合には予選で役員改選を行うと書いている通り、重任の場合は5月31日までに、役員の人選が変わる時(重任でない時)は6月1日に開催するのが一般的です。
重任のつもりであっても6月1日に社員総会を開催すると、登記上は「重任」ではなく「就任」になります。
役員の任期については「医療法人の設立・運営・承継・解散」(日本法令:医業経営研鑽会著)に詳しく書いてあります。ご参考にして下さい。

(追記 平成28年1月14日)