質問「時効を迎えた窓口未収金を貸倒にすることはできますか?」

このご質問は当事務所の顧問先様から頂いたものですが、皆様の参考になるかと思い、ホームページに載せることにしました。

窓口未収金の時効は民法第170条の規定により三年間とされています。
ですから最終診療日から三年間経った窓口未収金を貸倒損失として処理したいというお気持ちは理解できますが、税務上は時効を迎えた債権というだけで貸倒損失として処理することはできません。
時効を迎えたからといって債権は消滅しないからです。

三年間という時効を迎えた窓口未収金は、債務者である患者が時効消滅を主張できる権利を有するだけの事であり、債務者である患者から時効消滅の請求をされていないのであれば、例え三年間経過後であっも病院は窓口未収金を請求できるからです。

したがって、窓口未収金を貸倒損失として処理するためには三年間経っているかどうかに関わらず、末尾記載の要件のいずれかを満たす必要があります。

なお、当事務所では、患者の住所が不明の場合、又は患者が亡くなった場合に貸倒損失として処理しています。今までこの処理方法で税務調査で否認されたことはありません。

最後に病院が患者に対して、三年間経った窓口未収金を債権放棄すると通知を出すケースについて補足説明致します。
債権放棄の通知を出せば必ず貸倒損失として処理できると考えている人もいるようですが、税務上はそういう規定になっていません。
末尾記載の貸倒損失として処理するための要件の「3」をよく読んで頂ければわかることですが、債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権を受けることができない患者に対して債権放棄の通知をした場合は間違いなく貸倒損失として処理することができますが、病院が未収金回収の努力を全く(ほとんど)せずに三年間経ったという理由だけで一律に債権放棄をするのであれば、患者に対する寄付金という扱いになります。
ご注意下さい。


【貸倒損失として処理するための要件】
  • 会社更生法、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律、会社法、民事再生法の規定により切り捨てられる金額
  • 法令の規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定及び行政機関や金融機関などのあっせんによる協議で、合理的な基準によって切り捨てられる金額
  • 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができない場合に、その債務者に対して、書面で明らかにした債務免除額
  • 継続的な取引を行っていた債務者の資産状況、支払能力等が悪化したため、その債務者との取引を停止した場合において、その取引停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から1年以上経過したとき
  • 同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払を督促しても弁済がない場合
(公開日 平成24年4月25日)