質問「医療法人設立時の出資金額について」

ご質問の内容は、医療法人の設立を現在の顧問税理士に頼んだところ、二ヶ月分の運転資金を出資しなければいけないと言われたが本当に二ヶ月分必要なのかという事と、出資金が多いのと少ないのとではどちらが有利かという2点でした。

最初に医療法人設立の出資金額についてお答えします。
医療法人の設立認可申請は都道府県に対して行いますが、都道府県は行政手続法という法律に基づいて手続きを進めていきます。行政手続法第5条には「行政庁は、申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準を定めるものとする。」と書かれていますので、都道府県は審査基準を明確にしなければなりません。
その審査基準ですが、平成6年に厚生労働省より「健政発第410号(厚生労働省健康政策局長通知)」を審査基準とする旨の通知が出されていますので、全ての都道府県が「健政発第410号」を審査基準としているはずです。
「健政発第410号」に書かれている医療法人設立に関する文章は以下の通りです。

「医療法人の設立を認可するに当たって、一定期間の医療施設の経営実績を要件とすることは、望ましくないこと。なお、新たに医療施設を開設するために医療法人を設立する場合には、二ヶ月分以上の運転資金を有していることが望ましいこと。」

つまり、個人で開業している先生が医療法人化される時は二ヶ月分の運転資金に相当する出資をしなくていいという事です。ご相談者様は既に開業されていますので、二ヶ月分の運転資金は関係ありません。
恐らく顧問税理士さんは都道府県の指導通りの事をご相談者様に伝えているだけで、「健政発第410号」に書かれている事をご存じないのでは無いかと思います。

しかし二ヶ月分の運転資金という基準が無いのであれば、どの位を出資すればいのか?という疑問が出てくると思います。正直この事については医療法、医療法施行規則、通達等を含めてとごにも書かれていません。(のはずです。)
私の経験では、いくらでもいいと言ってくれる県もあれば、何百万円以上と決めている県もありました。ですから各都道府県の裁量次第という事なりますので、ご相談者様が所在する県庁へお問い合わせ下さい。

次に、出資金が多いのと少ないのとではどちらが有利かという件ですが、少ない方が有利と言えます。
一つの基準は1千万円です。設立時に1千万円以上の出資(資本金)があると消費税が課税されてしまうからです。また、1千万円を超えると利益に関係なく課税される「均等割」という地方税の金額も高くなってしまいます。
その他にも設立当初の出資が少ない方が有利になる場合が多いため、最近当事務所で設立をした医療法人さんも極力出資金額は1千万円未満にしております。

(公開日 平成16年12月以前)