経営ヒント「「医療に強い税理士」かどうかの見分け方」

平成28年7月20日に医業経営研鑽会オフィシャルブログに
「多くの税理士は「医療に強い」「医療専門」という意味を間違えている??」
https://kensankai.blog.so-net.ne.jp/2016-07-20
という記事を書いたところ非常に反響があり、複数のドクターから「医療に強い税理士の見分け方を教えて欲しい」と質問されたので、ホームページにもアップします。
ブログと一部内容が重複しますが、ご了承下さい。

私がブログに書いたのは「医療に強い税理士」とか「医療専門の税理士」が増えているが、税理士と病医院経営者では「医療に強い」とか「医療専門」という言葉の意味が違う気がするというものでした。
多くの税理士は、「医療に強い」とか「医療専門」という意味を「医療に関する税務に詳しい」という程度と認識しているようです。後は多少の医療法人等に関する手続きができる程度でしょうか...
これに対し病医院経営者は、「医療に強い」とか「医療専門」の税理士に期待することは「医療業界全般について詳しい」ことです。
税理士なんだから医療に関する税務に詳しいのは当たり前で、医療法人等に関する手続きも士業なんだから出来て当たり前と考えていると思われます。
そのため「医療に強い」または「医療専門」とうたっている税理士と顧問契約をした病医院経営者は、「うちの税理士は医療業界に詳しくない」という不満を持っている人が多くいます。
このことは拙著「税理士のための医業顧客獲得法」に詳しく書いています。

「税理士のための医業顧客獲得法」(中央経済社)第1章より抜粋
病医院経営者は常に税理士に対して「医療業界に詳しくない」という不満を持っています。
しかし、税理士の本来の業務は税務申告、税務相談、及び会計処理くらいです。
税理士試験にも税法以外の科目は簿記論と財務諸表論しかありませんし、日商簿記でも商業簿記、工業簿記、会計学、原価計算しかありませんので、一般的な税理士は税法と会計しか知らなくて当たり前です。
それなのに病医院経営者は税理士に対して病医院経営に関する相談をしてきます。
それは、税理士が一番身近な相談相手だからです。
ですから病医院を顧問先に持つ会計事務所、特に病医院専門とうたっている会計事務所は医療業界について詳しく知っておく必要があります。
病医院経営者は税理士に対して税務相談だけでなく、病医院経営に関して相談できることを求めていることを忘れないで下さい。

前置きが長くなりましたが、ドクターから質問された「医療に強い税理士の見分け方を教えて欲しい」の回答ですが、ブログにも書いてあるようにホームページを見ればある程度判断できます。
たとえば過去のセミナー実績が「節税」「税制改正」「税務調査対策」「相続税対策」「医療法人設立」などしかない税理士は、ほぼ間違いなく「医療に関する税務に強い税理士」であり、「医療に強い税理士」ではありません。
大切なのはどこで講演したかより、どのような内容の講演をしたかです。
たとえ日本医師会で講演をしていても、講演内容が「税制改正」であれば「医療に関する税務に強い税理士」でしかありません。
また、その税理士が書籍を出版していたり、雑誌等の記事を執筆していれば、それらの内容も判断材料になります。
たとえば税法改正、税務申告、節税などに関する書籍だけを出版していたり記事を執筆していれば、やはり「医療に関する税務に強い税理士」であり、「医療に強い税理士」ではないと思われます。
ただし、税務に関するセミナーだけであっても、大きな団体や官公署などで講演しているのであれば、それなりの人脈を持っていると考えられます。
これはこれで大きな武器であり、税理士を選ぶ判断材料の1つに挙げることができます。
書籍も大手有名出版社で出版しているのと、名前を聞いたことがない出版社で出版しているのでは大きな違いがありますし、雑誌も有名誌か無名誌かで大きく異なります。
また、書籍の場合はその本が売れているかどうかも判断材料の1つに挙げられます。
自費出版でなくても一定数以上の買い取りを約束することで出版することはできますが、このような本は実際にはほとんど世の中に流通しておらず、自分達の販促材料にしかなっていません。
それよりも世の中に広く流通している本の筆者の方が実力があると判断できるはずです。

ところで本当は「医療に強い税理士」という表現はおかしいです。
「税理士は、医療免許なくても医療に強いんだ。」とコメントしたドクターがいますがこのコメントは的を射ていると思います。
医療に詳しいのはドクターであり、税理士ではありません。
医療を業務として行うことを医業といいます。
したがって「医業経営や運営などに詳しい税理士」のような表現の方が正しいと思います。
ただ「医業経営や運営などに詳しい税理士」では長いので、私は常に「医業経営」または「医業経営コンサルタント」を専門的に行っているという表現を使っており、「医療に詳しい」とか「医療専門」という表現は使っていません。
このような表現の違いでも、俗に言う「医療に強い税理士」かどうかの判断基準になるかもしれません。

ちなみに私が「医業経営や運営などに詳しい税理士」かどうかは皆さまのご判断にお任せします。
私自身は「医業経営や運営などに詳しい税理士」を目指して日々研鑽を積んでいる最中であり、いまだ道半ばだと思っています。

(公開日 平成28年8月31日)