質問「経過措置型医療法人の医療法人格の売買について」

平成19年3月以前に設立された出資持分のある社団医療法人(経過措置型医療法人)の医療法人格の売買についての質問(相談)をよく受けますが、はっきり言ってお勧め出来ません。
医療法人格の売買という時点で休眠医療法人である可能性が大です。

まず、平成29年度全国医政関係主管課長会議の資料に「医療法人が成立した後又はすべての病院等を休止若しくは廃止した後、正当な理由なく1年以上病院等を開設又は再開しないときは、設立認可を取り消すことができることとなっている。休眠医療法人の整理は、医療法人格の売買等を未然に防止する上で極めて重要であるので、実情に即して、設立認可の取消しについて適切に対応されるようお願いする。」と書かれているように、何年間も休眠している医療法人を買い取っても設立認可が取り消される可能性があります。
なお、全国医政関係主管課長会議は毎年3月頃に都道府県の医政担当者等に厚生労働省が医療法改正の概要や施策などについて説明するものです。

また、医療法人は休眠中であっても毎年決算届の提出や資産総額変更登記が必要ですし、2年に一度は役員変更登記も必要です。これらの手続きや登記を数年間も怠っている医療法人を買い取ると後がとても大変です。
医療法第66条は「都道府県知事は、医療法人が法令の規定に違反し、又は法令の規定に基く都道府県知事の命令に違反した場合においては、他の方法により監督の目的を達することができないときに限り、設立の認可を取り消すことができる。」と規定しているので、休眠医療法人以外の理由で設立認可の取り消しの可能性もあります。

さらに都道府県によっては定款に「第○条に掲げる診療所のすべてを廃止したとき」という規定があります。
このような規定がある医療法人が診療所のすべてを廃止した場合は休眠医療法人ではなく、解散となります。
診療所のすべてを廃止しているが再開するつもりはあるので休眠医療法人だとあくまで主張したブローカー?がいましたが、解散事由に該当しているので清算法人が正しいです。
このような定款の規定がある一箇所だけ診療所を開設している医療法人が診療所の移転をする時は、既存診療所の廃止と新しい診療所の開設を同一日の社員総会で決議する必要があります。

以上の理由から、医療法人格の売買を持ちかけられても応じないことを強くお勧めします。
そもそも、ちゃんと診療所を運営している医療法人の場合、医療法人格の売買ではなく、診療所の売買として話を持ちかけられるはずです。

(公開日 平成30年5月24日)