経営ヒント「間違った医療法人の役員退職慰労金規程」

医療法人をよく理解せずに株式会社の規程や書式を少しだけ書き換えたものを使うところは多いですが、役員退職慰労金規程もそのひとつです。

問題なのは役位係数です。
株式会社では一般的に社長3.0、副社長2.7、専務取締役2.5、常務取締役2.0、取締役2.0という感じで定めています。
これを少しだけ変えて理事長3.0、副理事長2.7、専務理事2.5、常務理事2.0、理事2.0と定めた医療法人の役員退職慰労金規程をまれに見かけますが、明らかに医療法人について何も知らない素人が作成したことがわかります。

株式会社の定款に役付取締役に関する規定がなくても、定款は自由に変更できるので、専務取締役を置きたければ定款を変更することができます。
しかし、医療法人の定款は都道府県(又は政令指定都市)の認可を受けなければ定款を変更することはできません。
そして、多くの医療法人の定款には理事長と理事しか定められていません。
たまに役付理事として常務理事を定めた定款を見かけますが、専務理事を定めた医療法人の定款は見たことがありません。

その医療法人の定款に理事長と理事しか定められていないのに、役員退職慰労金規程には理事長、副理事長、専務理事、常務理事、理事の定めがあるのは明らかにおかしいです。
誰が見ても株式会社の規程を少しだけ書き替えたとわかるので、医療法人の役員退職慰労金規程を作成する時は、定款と整合性のあるものを作成することを強くお勧めします。

法人税法上は「定款等の規定又は総会若しくは取締役会の決議等によりその職制上の地位が付与された役員」を役員としています。
自称の場合は一般的には含まれません。
副理事長と自称しているからといって退職時の役員係数に副理事長の数値を使うこことはちょっと危険だと思います。
定款に副理事長の定めがないのに社員総会又は理事会で勝手に役職を付与することができるのか?という疑問があるからです。
特に退職金は役位係数によって金額が大きく異なるので税務署から指摘される可能性があり、できるだけ定款に定められた役職で判断すべきです。

(公開日 平成30年8月3日)