質問「医療法人の借入金額の最高限度の決定は毎年(事業年度)必要ですか?」

医療法人に対して銀行から「今年度の借入金額の最高限度を決定した議事録の写しを提出して下さい。」と要求があったそうです。
しかし、結論を先に書くと借入金額の最高限度の決定は毎事業年度必要ありません。

これは定款を見ればご理解頂けます。
下記は厚生労働省の社団医療法人定款例(最終改正平成30年3月30日)の抜粋です。

第19条 次の事項は、社員総会の議決を経なければならない。
(1) 定款の変更
(2) 基本財産の設定及び処分(担保提供を含む。)
(3) 毎事業年度の事業計画の決定又は変更
(4) 収支予算及び決算の決定又は変更
(5) 重要な資産の処分
(6) 借入金額の最高限度の決定
(7) 社員の入社及び除名
(8) 本社団の解散
(9) 他の医療法人との合併若しくは分割に係る契約の締結又は分割計画の決定

毎事業年度必要なのは事業計画の決定だけで、あとは必要な応じて決定することになります。

ところで借入金額の最高限度の決定が毎事業年度必要と勘違いしているのは銀行だけではなく、医療法人の監督官庁である都道府県や政令指定都市も間違った指導をする場合があります。
実際に当事務所にも東京都から「事業報告等提出書(いわゆる決算届)の事業報告書に平成××年度の借入金額の最高限度額の決定をした旨の記載がない」と言われたことがあります。
この医療法人の定款も厚生労働省の定款例と同じ規定なので、当然毎事業年度の決定は不要です。

私は以前から行政の指導が正しいと思うのは間違いだと指摘し続けていますが、借入金額の最高限度の決定も勘違いしている都道府県や銀行が多いので気をつけて下さい。
なお、銀行は都道府県から間違った指導をされたことがあり、その正否を確かめもせず、借入金額の最高限度の決定が毎事業年度必要と勘違いしている可能性があります。
これは銀行だけでなく、税理士や行政書士にもたまに見受けられます。
行政から指導されたことが正しいと思い込まず、必ずその正否を確認することを強くお勧めします。

(公開日 令和元年8月7日)