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経営ヒント「新規開業場所を選ぶポイント(歯科クリニック編)」

歯科の開業についてよくご相談を受けます。歯科は特に供給過剰状態であると言われていますので、開業についてはいろいろと心配がある事と思います。
開業についてのご相談内容で最も多いのは、開業場所についてです。複数の候補地があるがどこが一番いいか?既存病院の近くで開業を勧められているが採算はとれるか? 住宅地と都心部とどちらの方がいいのか?等様々です。
そこで開業場所を都心部、住宅地の2つに分けて、開業のポイントを簡単にまとめてみました。

1.都心部での開業のポイント
a.都心部で開業するにはどうしても家賃が高くなってしまいます。その為都心部で開業するのであれば自費(美容・審美歯科など)を中心とした診療スタイルが求められます。保険中心でも開業は出来ますが、保険は都心部でも住宅地でも点数が変わらないですから家賃が高い分、どうしても不利です。
b.都心部に開業する場合、クリニックの選択理由は口コミではなく、ホームページを見たとか建物が見えたからというのが多いようです。これは働きに来ている人が来院患者層の為、近所つき合いがある訳ではなく、その為口コミで評判が広がりづらいというのが理由のようです。この事を考えますとホームページの開設は必須となります。また開設場所や看板の設置場所も重要なポイントとなってきます。
c.患者のピークは昼頃と夕方になりますが、特に勤務が終わった後の夕方以降が多いようです。その為診察時間を長くする事で予約が入りやすくなりますが、気をつけたいのは予約キャンセルです。仕事が忙しい、飲みに行った、忘れた等の理由で時間が遅くなればなるほどキャンセルが多いようです。ですからキャンセルを少なくする工夫が必要となります。
d.都心部での開業のポイントをまとめますと、最先端の医療(自費)を行う事を目的として開業する事だと思います。特に美容・審美歯科に関しては、わざわざ休日に都心部に出てくる女性患者もいますので、患者としても最先端医療は都心部でという意識があるようです。また繰り返し書いているように自費が中心となりますので、先生の営業センスも求められます。営業センスとは自費を上手に勧める話し方だったり、ロータリークラブ等の会合に出たり飲食を通じて患者を紹介してもらったりする営業だったりします。

2.住宅地での開業のポイント
a.住宅地では都心部と違い保険を中心とした診療スタイルになると思います。矯正やインプラント等の自費のニーズはありますが、あくまで保険中心になると思いますので、来院患者数を如何に増やすのかが最大のポイントになります。
b.住宅地では小児歯科のニーズも高いと思われます。ですから子供が通いやすい雰囲気の入口や待合室にする等の工夫が必要です。
c.都市部と違い、将来的には口コミによる患者増が期待できると思いますが、開業当初は新聞折り込みチラシを出したり、開業案内パンフレット等をポスティングする等、地域住民の方達に認知してもらう努力が必要です。また、積極的に地域の催しに参加するのも有効だと思います。
d.住宅地では来院患者層は地域の住民に限定されますので、広告はあくまで地域限定でいいと思います。ですからホームページの重要性は都市部に比べて低いと思いますが、作るのであれば地域名称をキーワードに入れたものにすべきです。例えばホームページのタイトルも”○○市の歯医者さん「△△クリニック」”といったように地域を示すキーワードを入れた方がいいと思います。
e.住宅地の場合、近くに老人ホームが出来たり、寝たきりの患者がいたりと、訪問診察のニーズもこれから増えてきますので、訪問診察を考えているのであれば、近隣医療機関等とのお付き合いは必要不可欠となります。
f.住宅地での開業のポイントをまとめますと、保険中心の診療スタイルとなりますので、ある程度「肉体労働」と割り切って診察をする覚悟が必要だと思います。地域によってはちょっと自費の話をしただけで「あそこの歯医者は高い」という陰口を言われかねませんので、地域特性をよく把握した上で自費診察を勧めて下さい。

上記に書いた事はあくまで一般的な話ですので、実際に開業するにあたっては先生の診療方針、具体的候補地の立地条件、近隣の競合医院の数等を十分に考慮し、また既に開業している先輩先生などの意見をよく聞く等してから開業場所を決めて下さい。

(公開日 平成16年12月以前)

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