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質問「MS法人の存在意義と活用方法について」

MS法人の存在意義と活用方法についてお答えします。

まず存在意義ですが、よく以前は節税対策としてMS法人を利用していたと思います。ただ最近は、MS法人では節税出来ないというコンサルタントが多いようですが、私はそうとは考えていません。
確かに消費税の免税点も1,000万円に下げられ、ほぼ全てのMS法人が消費税課税事業者となりますし、法人税の税率自体が低くなっている為、以前のような魅力はありません。ただ長い目でみればMS法人に不動産を集める事で相続税対策となりますし(MS法人設立時に相続人となるべき人が出資者又は株主となっている必要があります)、親族を代表者又は役員とする事で個人開業医や医療法人では支払えない額の役員報酬及び退職金を支給する事も出来ます。
ただしMS法人の本当の存在意義は節税対策ではないと私は考えています。
私の考えるMS法人の存在意義は2つあります。
1.医療法人では出来ない営利活動が出来ること
2.医療法等の影響が及ばない為、都道府県に干渉される事がない

1の営利活動については細かく説明するまでないと思いますが、医療法人は非営利を原則としていますから医療法で定められている事以外は基本的には出来ません。例えば先日、当事務所の顧問先様が有料老人ホームを始めましたが、これですら医療法人では認められず、MS法人が事業主体となっています。また、通所介護は法人であることが要件となりますから個人開業医では出来ません。
これらの問題もMS法人をもっていれば解決が出来るのです。ですから今後居宅系介護サービス事業を行っていこうと思っている医療法人及び個人開業医にとっては、MS法人はなくてはならない存在だと思います。

2ですが、医療法人ではどうしても都道府県から認可を受けなければならない為、ちょっとした事ですぐ行政指導の対象となってしまいます。医療法人では役員社宅ですら自己所有出来ないのが現状です。(本当は出来ないのではなく、都道府県の行政指導により出来ないケースがほとんどですが)
その他にも医療法人が所有している遊休地の有効活用ですら難しく、医療法人では病医院に使う土地・建物以外は所有すべきではないと、私は考えています。
以上の事からMS法人の存在意義は、現在でも十分にあると思います。

次に活用方法ですが、上記の存在意義を読んで頂ければ大体おわかり頂けると思いますがいくつか列挙しました。
1.介護サービス事業を行う。(福祉用具の販売・レンタル、及び食事の配食サービス等も含みます)
2.不動産を所有し、自己の土地・建物を有効に活用する。
3.通所介護や有料老人ホーム、ケアハウス等の多地域展開に利用する。
4.高齢者向け賃貸住宅や障害者向け賃貸住宅などを運営する。
上記以外にも分院展開における拠点してMS法人を活用するなどの方法もあります。

(公開日 平成16年12月以前)

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