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質問「医療法人の理事長の重任登記の年月日について教えて下さい」

ご質問は医療法人の理事長より頂きました。
この医療法人の決算期は毎年4月1日から翌年3月31日で、毎年5月中旬頃に決算が確定し、決算承認の社員総会を開きますが、その時に理事長の改選を行っており、法務局に理事長の重任登記をするときの就任年月日も決算承認をした社員総会の開催日で届け出ていたそうです。
ところが、知人より理事長の重任登記の日は4月1日が正しいと言われ、その真偽の確認の為にご質問して来られました。

会社法や一般社団法人及び一般財団法人に関する法律では、役員の任期は「選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員(株主)総会の終結の時までとする。」と定められてますので、一般的な会社や法人は決算承認の社員(株主)総会の日が理事長や代表取締役の任期満了の日となります。

しかし、医療法人の役員の任期は「最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで」ではなく、「2年」です。
理由は医療法人の役員の任期は医療法第46条の2第3項の規定より2年を超えることができない為、ほとんどの医療法人は定款で2年と定めてられているからです。
2年としか定めがない以上、就任した日から2年を経過する日が任期満了の日となりますので、4月1日に就任したのであれば任期満了の日は翌々年の3月31日となります。
もっと厳密に言うと、3月31日の24:00が任期満了の瞬間です。

重任とは登記実務上の呼称で、任期満了により退任した者が引き続き再選され就任することを言います。
重任の場合の登記の日は就任年月日です。

一般的に役員の改選は3月31日の社員総会で「理事及び監事全員が本日をもって任期満了し退任することとなるので、その改選の必要がある旨を述べ・・・・」と行われます。
改選は3月31日で行われますが、次の役員の任期は4月1日の00:00から始まります。
ですから誤解しないような議事録を作成するのであれば、「理事及び監事全員が本日をもって任期満了し退任することとなるので、平成○○年4月1日からの理事及び監事を選任する必要がある旨を述べ・・・・」となります。

株式会社の場合は役員改選を行った株主総会開催日が重任登記の日となりますが、これは株式会社の役員の任期が「定時株主総会の終結の時まで」だからです。
定時株主総会が午後4時ちょうどに終わったのであれば新しい役員の任期は同じ日の午後4時1分からスタートします。
しかし、医療法人は2年ぴったりなので、前述したように任期満了が3月31日の24:00であれば、新しい役員の任期は4月1日の00:00から始まります。
したがって、医療法人の重任登記の日は株式会社と違い、役員改選が行われた社員総会開催日の翌日となります。

以上のことから、医療法人の理事長の重任登記の日が、決算承認をした社員総会の開催日なのは完全に間違いで、理事長の正しい重任登記の日は4月1日となります。

(公開日 平成21年5月8日)

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